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大阪地方裁判所 昭和58年(わ)2284号 判決

本店所在地

大阪市平野区加美東一丁目三番一三号

有限会社竹森化工

右代表者代表取締役竹森征夫

本籍

長崎県長崎市稲田町四二番地

住居

大阪府藤井寺市北岡一丁目一番五号

会社役員

竹森征夫

昭和一五年二月一一日生

右両名に対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官岩永建保出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人有限会社竹森化工を罰金一、四〇〇万円に、被告人竹森征夫を懲役一〇月に処する。

被告人竹森征夫に対し、この裁判確定の日から二年間その刑の執行を猶予する。

訴訟費用は、その二分の一ずつを各被告人の負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告人有限会社竹森化工は、大阪市平野区加美東一丁目三番一三号に本店を置き、合成樹脂製品製造業を営むもの、被告人竹森征夫は、同会社の代表取締役としてその業務全般を統括しているものであるが、被告人竹森征夫は、同会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、

第一  同会社の昭和五四年五月一日から同五五年四月三〇日までの事業年度において、その所得金額が六〇、八四万〇、二四五円で、これに対する法人税額が二三、四九万六、〇〇〇円であるのにかかわらず、架空の外注費を計上するなどの行為により右所得の全部を秘匿したうえ、同五五年六月三〇日、大阪市平野区平野西二丁目二番二号所在の所轄東住吉税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が欠損一、五六万九、一四四円で、納付すべき法人税はない旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、法人税二三、四九万六、〇〇〇円を免れ

第二  同会社の同五五年五月一日から同五六年四月三〇日までの事業年度において、その所得金額が一六、八六万三、四八四円で、これに対する法人税額が六、一二万二、四〇〇円であるのにかかわらず、前同様の不正行為により右所得の全部を秘匿したうえ、同五六年六月三〇日前記東住吉税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が欠損三、五三万四、九一二円で納付すべき法人税はない旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、法人税六、一二万二四〇〇円を免れ

第三  同会社の同五六年五月一日から同五七年四月三〇日までの事業年度において、その所得金額が一億〇八、九八万七、三四一円で、これに対する法人税額が四四、八一万四、五〇〇円であるのにかかわらず、前同様の不正行為により右所得の一部を秘匿したうえ、同五七年六月三〇日前記東住吉税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が一八、五四万三、五〇九円、これに対する法人税が六、八二万八、〇〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、法人税三七、九八六、五〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示事実全部について

一  被告人竹森征夫の検察官に対する供述調書及び大蔵事務官に対する質問てん末書九通

一  森川雅博の検察官に対する供述調書及び大蔵事務官に対する昭和五八年九月三日付、同月一〇日付、同年一〇月二九日付、同年一一月一三日付各質問てん末書

一  山下進、白井馥及び渡辺尚明(昭和五七年一一月一七日付)の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書説明資料

一  大蔵事務官作成の売上除外金調査書、簿外仕入及び簿外棚卸調査書、架空仕入調査書、架空外注費調査書、簿外給料等調査書、仮払・未払税金調査書、機械の架空除却損等調査書、青色特典調査書、受取利息(法人簿外預金に係る受取利息)調査書、雑収入除外調査書及び未納事業税調査書

一  大阪法務局登記官作成の法人登記簿謄本

一  被告人有限会社竹森化工(代表取締役竹森征夫)の定款判示第一の

事実について

一  大蔵事務官作成の昭和五四年五月一日から昭和五五年四月三〇日までの分の脱税額計算書及び法人税確定申告書謄本

判示第二の事実について

一  大蔵事務官作成の昭和五五年五月一日から昭和五六年四月三〇日までの脱税額計算書及び法人税確定申告書謄本

判示第三の事実について

一、森川雅博の大蔵事務官に対する昭和五七年一一月二六日付、同年一二月七日付質問てん末書

一、大蔵事務官作成の昭和五六年五月一日から昭和五七年四月三〇日までの分の脱税額計算書及び法人税確定申告書謄本

(法令の適用)

被告人有限会社竹森化工の判示第一の所為は法人税法附則二条、一九条により昭和五六年法律第五四号による改正前の法人税法一六四条一項、一五九条一項に、判示第二、第三の各所為はいずれも右改正後の法人税法一六四条一項、一五九条一項に、被告人竹森征夫の判示第一の所為は法人税法附則二条、一九条により昭和五六年法律第五四号による改正前の法人税法一五九条一項に、判示第二、第三の各所為はいずれも法人税法一五九条一項に該当するが、所定刑中被告人有限会社竹森化工に対し、判示第三の罪につき情状により改正後の法人税一五九条二項を適用し、被告人竹森征夫に対し懲役刑をそれぞれ選択し、以上はそれぞれ刑法四五条前段の併合罪であるから、被告人有限会社竹森化工については、同法四八条二項により各罪所定の罰金の合算額の範囲内で被告人竹森征夫については、同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第三の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で処断することとし、被告人有限会社竹森化工を罰金一、四〇〇万円に、被告人竹森征夫を懲役一〇月に処し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判の確定した日から三年間被告人竹森征夫に対する右の刑の執行を猶予することとし、訴訟費用については刑事訴訟法一八一条一項本文により、その二分の一ずつを各被告人の負担とする。

よって主文のとおり判決する。

(裁判官 柴田秀樹)

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